福岡市立少年科学文化会館
「空と海ののりもの展」
2006.08.09〜30
展示のための準備作業に追われるスタッフ
オープニングセレモニーの様子
展示の様子 2006.08.09
九州大学の海洋システム工学部門に関する展示コーナー
安東先生が作られた「船が浮くしくみ」のパネル。パネルだけでは物足りないので「鉄の塊」と「鉄板でできた箱」を展示
これらは木村がありあわせの材料で製作。しかし大部分の来場者は全く興味を示さず、
それどころか苦労して作った「鉄の箱」にむりやり「鉄の塊」を押し込もうとする悪ガキが続出。
クラフトコーナーでは「ぽんぽん船」と「浮沈子」を無料にて作ることができます。
クラフトコ−ナーで作ったぽんぽん船を水槽で走らせています。
操船シミュレーションコーナー:古川先生が作られた操船シミュレーションゲームが体験できます。
展示の様子 2006.08.12
ちょっとヒマそうな案内係のスタッフ達
「空と海ののりもの展」チラシ
福岡市内の各区役所等に配布されたらしい
クラフトコーナーでの「ぽんぽん船」代替策の「位置エネルギーウォータージェット推進船」
クラフトコーナーで作る「ぽんぽん船」は、動力として火のついたろうそくを用いるため、
火傷(やけど)や火災などの危険がある。また、ぽんぽん船以外に「しょうのう船」を作って
走らせる案もあったが、しょうのうは防虫剤であるため口に入れると危険で、
またクラフトコーナーや水槽で大量に使用すると空気が汚れて
気分が悪くなるなどの問題があった。
そこで、木村は安全・安価かつクリーンで工作が簡単なクラフトとして
「位置エネルギーウォータージェット推進船」を企画段階で提案してはいたのだが、
実際にどの程度の性能を持つのかは分からなかった。
クラフトコーナー参加者が予想外に多く、
用意したぽんぽん船が足りなくなる可能性が出てきたこともあり、
「位置エネルギーウォータージェット推進船」を試作して水槽で走らせて評価した。
「位置エネルギーウォータージェット推進船」試作1号機
発泡スチロールの浮体にペットボトルを載せ、動力用の「水タンク」とする。
ペットボトルの底にストローをつなげて水を入れると、
ストローから後方へ水が流れ出し、その力でゆっくり進む。
この試作機は、見た目は悪いが、これでいつまでも遊んでいる子どもが複数いて、
おもちゃとして十分に遊べることが確認できた。
ただ、あまり安定性が良くないため、動力用のタンク一杯まで水を入れると転覆してしまう。
「位置エネルギーウォータージェット推進船」試作2号機
1号機はうまく動いたが、あまりにも外観が見苦しく、また安定性も良くないので、もうちょっとましなものを作った。
また、クラフトコーナーで安価かつ簡単に用意して作れるように、使用する材料をペットボトルから
プラスチック製の使い捨てコップに変更した。
コップは 220ml 入りで、ストローの直径は 4mm 程度。
水をコップ一杯まで入れると、静止した状態から少なくとも 2〜3m は走る。
「位置エネルギーウォータージェット推進船」動作の様子ムービー(MOV形式)
「位置エネルギーウォータージェット推進船」に関する技術文献
ここで紹介した船の推進方法は、簡単に工作できる割にけっこうよく走り、
エネルギーの補充も簡単でお金もかからないので、どこかに同じような文献がないものかと、
子供向けの夏休み工作の本などをいろいろ調べてみたが、水の高低差を利用して進む船についての
記述はどこにもなかった。
特許庁の電子図書館でのインターネット検索によると、実用新案として技術文献が存在した。
実開昭51−021993 「落差力利用の玩具」
実開昭61−191095 「船玩具」
実開昭62−164099 「水中流出水利用遊具」
これらは全てここで紹介した船の推進方法と全く同一である。
古い発明なので、現在は誰でも自由に使用可能な技術である。
のりもの展で小さな子供がこの船で遊んでいる様子を観察していると、
タンクへ水を注ぐと同時に船が走り出してしまうため、
タンクに十分な量の水を入れることができないという問題点があった。
そこで、タンクに水が満杯になるまで水の流出を抑制する仕組みを考案した(以下の図を参照)。
タンクから船の後方へ水を流すためのパイプをサイフォンにするだけで実現できる。
興味深いのは、タンクが空になった状態から水を注ぐと、タンクの水が満杯になるまで水の流出が抑制されるが、
水が流出している途中で水を注ぐなら、流出が止まることがないので、航行中でも船を止めることなく
エネルギー補充が可能であるということである。
こういう玩具はサイフォンで調べても該当がなく、ちょっと面白そうだったので特許出願してみた。
特願2006-357001 (平成18年11月30日)
発明の名称 位置エネルギーウォータージェット船
発明者 木村 元
特許出願人 木村 元
8 pages, PDF file, Patent20061130.pdf (128KB)
特許について説明するための講義資料として使用しています。