CPUクーラー用ペルチェ素子を用いた熱電発電
「熱電効果」とは、伝導体の電流・電圧と熱流・温度差の間にある以下の3つの効果の
総称である:
- ゼーベック効果(Seebeck effect):金属または半導体の棒に沿って温度勾配∇Tが
あるとき、その大きさに比例して棒に沿った電界Eが生ずる効果である。
E=α∇T
比例係数αをゼーベック係数と呼ぶ。∇Tの向きが逆転するとEの向きも逆転する。
- トムソン効果(Thomson effect):
導体棒に沿って電流Iと温度勾配∇Tが共存すると、その棒に一様に単位体積あたりQの
熱が発生あるいは吸収される効果。
これは電流と電気抵抗によって発生するジュール熱とは別の効果で、可逆効果である。
Iと∇Tが同じ向きのとき発熱(Q>0)があったとすると、Iまたは∇Tの
どちらかがが逆向きのときは吸熱(Q<0)になる。
Q=τI・∇T
比例係数τをトムソン係数と呼ぶ。
- ペルチェ効果(Peltier effect):
ゼーベック効果の逆効果である。すなわち電界をかけて電流Iを流すと温度勾配が生じる。
1. ゼーベック効果(Seebeck effect)
2. ペルチェ効果(Peltier effect)
3. ゼーベック効果による熱電発電1
4. ゼーベック効果による熱電発電2
5. 熱電発電の最大効率
6. ペルチェ冷却の成績係数・最大効率
7. ペルチェ素子のデータシートからの読み取り
8. データシートから読み取った値の処理
9. データシートから計算される熱電発電の効率
【参考文献】
田沼静一 著:エネルギー変換 −パワーエネルギーからエネルギーセンサーまで−
株式会社 裳華房(1991).
蒸気機関車ならぬ,お湯で走る電気機関車?の製作
ペルチェ素子にシリコン樹脂テープを介して銅板を取り付け
氷水と熱湯をそれぞれ湯呑みに注ぎ、ペルチェ素子を渡して発電。
4cm × 4cm,12V 6AのCPUクーラ用ペルチェ素子
(TEC1-12706,最大吸熱量57W,価格700円(at秋月電子通商,2005年7月現在))
を用いて電圧を測定したところ、ピーク電圧は 0.85V だった。
45mmゲージ鉄道模型の電動台車に熱電発電器を載せて、発電した電気で走らせた。
極めてゆっくりだが、ちゃんと走る。
ひととおり走り終わって、再び起電力を測定したところ、
・モータを接続しない状態で 0.63V
・モータを接続した状態でモータの回転を強制的に止めた場合の電圧が 0.51V
だった。お湯の温度も測りたかったが、温度計が無かったためデータが得られなかった。
熱電発電機関車の走行の様子を記録したQuickTimeムービー
直接クリックしても見れない場合は,
右クリック等で「対象をファイルに保存」で MOV ファイルを保存してからメディアプレイヤー等で見てください:
QuickTimeMovie, P1030336.MOV (508KB)